鶏を割くに焉くんぞ牛刀を用いん
鶏を割くに焉くんぞ牛刀を用いん
- 出典:『論語』陽貨第十七4(ウィキソース「論語/陽貨第十七」参照)
- 解釈:小事を処理するのに、大人物または大げさな手段は必要がないということ。「鶏」は、小さなもの。小事の喩え。「牛刀」は、牛を切り割くための、大きな庖丁。大人物または大げさな手段の喩え。「牛刀もて鶏を割く」とも。
- 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子之武城、聞弦歌之聲。夫子莞爾而笑曰、割雞焉用牛刀。
子、武城に之き、絃歌の声を聞く。夫子莞爾として笑いて曰く、鶏を割くに焉くんぞ牛刀を用いん。
- 之 … 行く。
- 武城 … 魯の国の地名。小さな町であった。
- 弦歌 … 琴の音に合わせて歌う。
- 夫子 … 先生。孔子を指す
- 莞爾 … にっこりと笑う。
- 牛刀 … 牛を切り割くための、大きな庖丁。
- 詳しい注釈と現代語訳については「陽貨第十七4」参照。
子游對曰、昔者偃也、聞諸夫子。曰、君子學道則愛人、小人學道則易使也。子曰、二三子、偃之言是也。前言戲之耳。
子游対えて曰く、昔者偃や、諸を夫子に聞く。曰く、君子道を学べば則ち人を愛し、小人道を学べば則ち使い易し、と。子曰く、二三子、偃の言是なり。前言は之に戯るるのみ。
- 子游 … 姓は言、名は偃、子游は字。呉の人。孔門十哲のひとり。「文学には子游・子夏」といわれ、子夏とともに文章・学問に優れているとされた。ウィキペディア【子游】参照。
- 対 … お答えする。目上の人に使う。
- 偃 … 子游の名。わたくし。
- 諸 … 「これ」と読み、「これを~に」と訳す。
- 君子 … ここでは為政者。
- 小人 … ここでは一般の庶民。
- 易使也 … 従順になりやすい。
- 二三子 … お前たち。門人たちに呼びかけることば。
- 是 … 正しい。「ぜ」と読む。
- 前言 … さっき言った言葉。
- 戯之 … 冗談をいう。「之」は「偃」を指す。
- 詳しい注釈と現代語訳については「陽貨第十七4」参照。
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