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九牛の一毛

九牛きゅうぎゅう一毛いちもう
  • 出典:『文選』司馬遷「報任少卿書」
  • 解釈:取るに足りないこと。「多くの牛の中の一本の毛」の意から。
僕之先、非有剖符丹書之功。文史星暦、近乎卜祝之間。固主上所戲弄、倡優所畜、流俗之所輕也。
ぼくせん剖符ぼうふ丹書たんしょこうるにあらず。文史ぶんし星暦せいれき卜祝ぼくしゅくかんちかし。もとより主上しゅじょう戯弄ぎろうするところ倡優しょうゆうやしなところ流俗りゅうぞくかろんずるところなり。
  • 僕 … 謙遜していうときの一人称代名詞。
  • 先 … 祖先。
  • 剖符 … 割り符。
  • 丹書 … 君主が封土を受ける者に与える契約書。
  • 文史星暦 … 記録や天文・律暦を司る役。
  • 卜祝 … 占い師や巫。
  • 主上 … 天子・君主の敬称。
  • 戯弄 … なぐさみもの。
  • 倡優 … 楽人と俳優。
  • 流俗 … 世間の俗人。
假令僕伏法受誅、若九牛亡一毛、與螻蟻何以異。而世又不與能死節者、特以爲智窮罪極、不能自免、卒就死耳。何也、素所自樹立使然也。
仮令たといぼくほうふくちゅうくるも、九牛きゅうぎゅう一毛いちもううしなうがごとし、螻蟻ろうぎなにもっことならんや。しかしてまた死節しせつするものゆるさず、もっ智窮ちきゅうつみきわまり、みずかまぬかるるあたわず、ついくとすのみ。なんぞや、もとよりみずか樹立じゅりつするところしからしむるなり。
  • 螻蟻 … おけらやあり。
  • 死節 … 節義のために死ぬこと。
人固有一死、或重於太山、或輕於鴻毛。用之所趨異也。
ひともとより一死いっしり、あるいは太山たいざんよりおもく、あるいは鴻毛こうもうよりかろし。ようおもむところことなればなり。
  • 太山 … 泰山のこと。
  • 鴻毛 … おおとりの毛。非常に軽いもののたとえ。
太上不辱先、其次不辱身、其次不辱理色、其次不辱辭令、其次詘體受辱、其次易服受辱、其次關木索被箠楚受辱、其次剔毛髮嬰金鐵受辱、其次毀肌膚斷肢體受辱、最下腐刑極矣。
太上たいじょうせんはずかしめず、はずかしめず、理色りしょくはずかしめず、辞令じれいはずかしめず、たいくっしてはずかしめをく、ふくえてはずかしめをく、木索ぼくさくかんせられ箠楚すいそこうむりてはずかしめをく、毛髪もうはつられ金鉄きんてつめぐらされてはずかしめをく、肌膚きふやぶ肢体したいちてはずかしめをく、最下さいげ腐刑ふけいきわまれり。
  • 太上 … 最上。
  • 理色 … 道理と体面。
  • 辞令 … 人に対する言葉、あいさつ。
  • 易服 … 罪人用の赤い服を着ること。
  • 木索 … 刑具の名。木は手枷足枷。索は縄。
  • 箠楚 … 罪人をうつむち。
  • 金鉄 … 鉄で作った刑具。枷の類。
  • 毀肌膚 … 入れ墨などで肌を傷つけられること。
  • 腐刑 … 宮刑の別称。
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