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一を聞いて十を知る

いちいてじゅう
  • 出典:『論語』公冶長第五8(ウィキソース「論語/公冶長第五」参照)
  • 解釈:ほんの一部分を聞いただけで、すぐにその全体を悟る。非常に賢いこと。子貢が顔回をほめたたえた言葉。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子謂子貢曰、女與回也孰愈。對曰、賜也何敢望回。回也聞一以知十。賜也聞一以知二。子曰、弗如也。吾與女弗如也。
こういていわく、なんじかいいずれかまされる。こたえていわく、なんえてかいのぞまん。かいいちいてもっじゅうる。いちいてもっるのみ。いわく、かざるなり。われなんじかざるなり。
  • 子貢 … 前520~前446。姓は端木たんぼく、名は。子貢はあざな。衛の人。孔子より三十一歳年少の門人。孔門十哲のひとり。弁舌・外交に優れていた。また、商才もあり、莫大な財産を残した。ウィキペディア【子貢】参照。
  • 女 … おまえ。「汝」に同じ。
  • 回 … 前521~前490。孔子の第一の弟子。姓は顔、名は回。あざなえんであるので顔淵とも呼ばれた。の人。徳行第一といわれた。孔子より三十歳年少。早世し孔子を大いに嘆かせた。孔門十哲のひとり。ウィキペディア【顔回】参照。
  • 与 … 「と」と読み、「~と」と訳す。「A与B」の場合は、「AとB」と読む。並列の意を示す。「與」は「与」の旧字体。
  • 女与回也 … ここの「也」は読まない。
  • 孰 … 「いずれか」と読み、「どちらが~か」と訳す。
  • 愈 … まさる。
  • 対曰 … 目上の人に答えるときに用いる。
  • 賜 … 子貢の名。
  • 何敢望 … どうして比べられようか(比べものにならない)。「何敢」は「なんぞあえて~せん」と読み、「どうして~しようか、~しない」と訳す。「望」は、遠くから眺めるの意。
  • 回也聞 … ここの「也」は「や」と読む。
  • 聞一以知十 … 「一」は、物事の始め。「十」は、物事の終わり。最初の一端を聞いただけで、物事の全体を理解すること。
  • 聞一以知二 … 理解力が平凡であること。
  • 吾与女 … わたし(孔子)もお前(子貢)も。
  • 弗如也 … 「しかざるなり」と読む。「及ばない」と訳す。「弗」は「不」よりも強い否定の助字。「如」は、及ぶの意。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「公冶長第五8」参照。
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句