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顔淵第十二 15 子曰博學於文章

293(12-15)
子曰、博學於文、約之以禮、亦可以弗畔矣夫。
いわく、ひろぶんまなび、これやくするにれいもってすれば、もっそむかざるきか。
現代語訳
  • 先生 ――「ひろく文献をまなび、それを規律でひきしめれば、ともかく本すじにたがわないだろうな。」(がえり善雄『論語新訳』)
  • 孔子様がおっしゃるよう、「(君子たるもの、)ひろく書を読んで文物を学ばねばならぬが、博学なだけでは散漫さんまんになる故、人生の物指ものさしたる礼をもってしめくくりをつけねばならぬ。そうすれば正しい道にそむかぬようになれようか。(穂積重遠しげとお『新訳論語』、「雍也第六25」からの引用)
  • 先師がいわれた。――
    「ひろく典籍を学んで知見をゆたかにするとともに、実践の軌範を礼に求めてその知見にしめくくりをつけるがいい。それでこそ学問の道にそむかないといえるだろう」(下村湖人『現代訳論語』)
語釈
  • この章は「雍也第六25」に重出。ただし、「博学」の前に「君子」の二字がある。なお、穂積重遠『新訳論語』では現代語訳が省略されているため、「雍也第六25」から引用して補った。
  • 文 … 詩書をはじめとした、いろんな書物。
  • 之 … 書物から学んだ知識。
  • 約 … ひろく学んだことを実践できる方向へ集約していく。
  • 礼 … 安定した社会秩序。伝統的習慣。
  • 畔 … 背く。道にはずれる。
補説
  • 『注疏』に「此の章及び注は雍也篇と同じ。当に是れ弟子各〻聞く所を記す、故に重ねて之を載するものなるべし」(此章及注與雍也篇同。當是弟子各記所聞、故重載之)とある。『論語注疏』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
  • 博学於文 … 『義疏』では「君子博学於文」に作る。『論語義疏』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。また『注疏』に「或いは本と亦た君子博学於文に作る有り」(或本亦有作君子博學於文)とある。
  • 約之以礼 … 『義疏』に「能く礼を以て約束するなり」(能以禮約束也)とある。
  • 亦可以弗畔矣夫 … 『集解』に引く鄭玄の注に「畔かずは、道に違わざるなり」(弗畔、不違道也)とある。なお、底本には鄭玄と表記されていないが、『注疏』に「鄭曰」とあるので、従った。『論語集解』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。また『義疏』に「畔は、違背するなり。言うこころは人広く文章を学びて、又た礼を以て自ら約束すれば、則ち亦た得て正理に違背せざるなり」(畔、違背也。言人廣學文章、而又以禮自約束、則亦得不違背正理也)とある。
  • 伊藤仁斎『論語古義』に「重ねて出づ。例、前篇に見えたり」(重出。例見前篇)とある。『論語古義』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
  • 荻生徂徠『論語徴』には、この章の注なし。
学而第一 為政第二
八佾第三 里仁第四
公冶長第五 雍也第六
述而第七 泰伯第八
子罕第九 郷党第十
先進第十一 顔淵第十二
子路第十三 憲問第十四
衛霊公第十五 季氏第十六
陽貨第十七 微子第十八
子張第十九 堯曰第二十