ホーム > 経部 > 孝経(目次) > 聖治章第九

孝経 聖治章第九

開宗明義章第一 天子章第二 諸侯章第三
卿大夫章第四 士章第五 庶人章第六
三才章第七 孝治章第八 聖治章第九
紀孝行章第十 五刑章第十一 廣要道章第十二
廣至徳章第十三 廣揚名章第十四 諫爭章第十五
應感章第十六 事君章第十七 喪親章第十八
閨門章第十九(古文のみ)  
    
 聖治章第九
曾子曰、敢問、聖人之徳、以加於孝乎。
曽子曰く、あえて問う、聖人の徳もって孝に加うることなきかと。
  • 古文では「聖治章 第十」に作る。
  • 無 … 古文では「亡」に作る。
子曰、天地之性、人為貴。
いわく、天地の性、人をたっとしとなす。
人之行、莫大於孝。
人の行いは、孝より大なるはなし。
孝莫大於嚴父。
孝は、父をげんにするより大なるはなし。
嚴父莫大於配天。
父を厳にするは天に配するより大なるはなし。
則周公其人也。
すなわち周公しゅうこうはその人なり。
昔者、周公郊祀后稷以配天、宗祀文王於明堂以配上帝。
昔者むかし周公后稷こうしょく郊祀こうししてもって天に配し、文王ぶんのう明堂めいどう宗祀そうししてもって上帝に配す。
是以四海之内、各以其職來祭。
ここをもって四海のうち、おのおのその職をもって来り祭る。
夫聖人之徳、又何以加於孝乎。
それ聖人の徳、また何をもってか孝に加えんや。
故親生之膝下、以養父母日嚴。
ゆえにおやこれを膝下しっかに生じ、もって父母を養い、ひびげんにす。
  • 古文では「是故親生毓之、以養父母曰嚴」に作る。
聖人因嚴以教敬、因親以教愛。
聖人厳にりてもって敬を教え、親にりてもって愛を教う。
聖人之教不肅而成、其政不嚴而治。
聖人の教えはしゅくならずして成り、そのまつりごとは厳ならずして治まる。
其所因者本也。
そのるところのものは本なり。
父子之道天性也。君臣之
父子の道は天性てんせいなり。君臣の義なり。
  • 「父子之道」以下、古文では「父母生績章 第十一」に作る。
  • 古文では「父子之道」に前に「子曰」の二字あり。
  • 義 … 古文では「誼」に作る。
  • 也 … 古文ではこの字なし。
父母生之、莫大焉。
父母これを生む。つづくこと、これより大なるはなし。
  • 續 … 古文では「績」に作る。
君親臨之、厚莫重焉。
君親くんしんとしてこれに臨む。あつきことこれより重きはなし。
不愛其親、而愛他人者、謂之悖徳。
ゆえにその親を愛せずして他人を愛する者、これを悖徳はいとくと謂う。
  • 「不愛其親」以下、古文では「孝優劣章 第十二」に作る。
  • 古文では「不愛其親」に前に「子曰」の二字あり。
  • 故 … 古文ではこの字なし。
不敬其親而敬他人者、謂之悖禮。
その親を敬せずして他人を敬する者、これを悖禮はいれいと謂う。
則、則焉。
順をもってすればのっとり、逆なれば民のっとることなし。
  • 順 … 古文では「訓」に作る。
  • 逆 … 古文では「昏」に作る。
  • 無 … 古文では「亡」に作る。
於善、而皆在於凶徳。
善にあらずして、みな凶徳にあり。
  • 在 … 古文では「宅」に作る。
雖得、君子不貴也。
これをといえども、君子はたっとばざるなり。
  • 之 … 古文では「志」に作る。
  • 不貴 … 古文では「弗從」に作る。
君子則不然。
君子はすなわちしからず。
言思可道、行思可樂。
げんうべきを思い、こうは楽しむべきを思う。
可尊、作事可法、容止可觀、進退可度。
徳義たっとぶべく、作事のっとるべく、容止ようし観るべく、進退とすべし。
  • 義 … 古文では「誼」に作る。
以臨其民。
もってその民にのぞむ。
是以其民畏而愛之、則而象之。
ここをもってその民おそれてこれを愛し、のっとってこれにかたどる。
故能成其徳教、而行其政令。
ゆえによくその徳教を成して、その政令をおこなう。
詩云、淑人君子、其儀不忒。
に云く、「淑人しゅくじん君子、その儀たがわず」と。